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【2015年5月 企画展示のお知らせ】

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© Mizuho Ishida & Tomoaki Akasaka 2015

○ 期 間 2015. 05. 23 sat. - 05. 31 sun. 12:00 - 19:00

○ 入場料 500円(ワンドリンク + お茶菓子付)



— Imaginary Move

 ヘブリディーズ諸島、モンゴル、カナダそして福島ー赤阪友昭の写真は膨大な移動の頂きで、宇宙の瞬間を切りとる。詩人の書くものは、物体としての書物に封じられる。書物はそれ自体では移動しないが、ページをめくるたびに時空を自在に旅し、やがて読者を世界の果てまで連れ去る。いわんや、一篇の詩はすべからく言葉の果てへと通ずる。

 果ての島々ーぼくらはある日、スコットランドに散らばる北片の島々を旅した。別々に。視線も言葉もかわすことなく。島の種は、写真家と詩人の夢の土壌に根をおろし、だれにも知られずに花を咲かせる。色香が何年もふたりを苦しめ、喜悦させる。やがて夢幻は、果ての実を結ぶ。一滴の涙のように孤独な実を。その実は神々の雷でも割れない。ただ、芽吹く。風と風が出会う光の島で。

 

詩人 石田瑞穂             

 

 

ー Uisce Agus Loch - From the Isle of Outer Hebrides, Scotland -

森の再生を手がける友人が尋ねたことがある。
「山の傾斜面がどのように決定されるか、知っていますか」
彼いわく、山を形成する岩盤の堅さとそこを流れる水の量なのだという。
つまり、この星の上に見える風景のほとんどは石と水が創りだしたものなのだ。
にもかかわらず、森の土の下を流れる水のゆくえを私たちは知らない。

2010年の秋、ようやく日本の水をテーマに撮影を始めていた。
水のゆくえを追って、源流の森を歩き、瀧を訪ね、夜明け前の海に佇み時間を過ごした。
そして、2011年3月11日を迎えた。
以来、知っているはずの風景は、繋がりを失い見知らぬ土地へと転化した。
水のゆくえは見失われたまま時間が過ぎていった。
ふたたび大地との繋がりを取り戻すため、この惑星の古い記憶を辿る必要があった。
2012年、石への旅がはじまった。

石が内包する記憶は、遥か何億年もの古よりこの星に生きた生命によって残されてきたもの。
ある意図のもと幾何学的な構成を持つ立柱石群、ストーンサークルの中に立つ。
石の間を風が吹き抜ける。風が引き起こす微細な振動は石群の中で渦となり共鳴し、
そこに残された記憶の欠片は覚醒する。

しずかに…、耳をすましてみる。
やがて、それらは私たちの記憶の奥底へと辿りつく、記憶の転生。
それは未来への希望。

石に立つ。水を憶う。

写真家 赤阪友昭             

 

 

石田瑞穂 詩集『まどろみの島』

展示会場にて販売中!

現代日本詩人会 第63回H氏賞受賞作品


夏の防波堤で音もなく
ふたりは人の心が紡ぐ
単純な散文のなかにいます
切迫とやさしさの満ちひき
一瞬一瞬の意味の波形のうえを
手話の蝶が舞い踊ります
(フィナフォート波止場)


「私は旅のノートを頼りに〝詩〟とも〝手紙〟とも呼べない六行の言葉を、百通を超す葉書に
綴りはじめていました――死者には、もう夢のなかでしか会えないのだとしても」(あとがき)

場所の名に繋ぎとめられるように刻まれた静かな呼吸。越境するレクイエム。魂の郵便として――。
装幀=奥定泰之
発行:思潮社
本体2,200円+税
B6判変型上製・98頁
ISBN978-4-7837-3317-1
2012年10月刊

【略 歴】

石田 瑞穂(いしだ・みずほ)
詩人。1973年、埼玉県旧大宮市(現・さいたま市)に生まれる。第37回現代詩手帖賞受賞。詩集に『片鱗篇』(新しい詩人シリーズ、思潮社)、『まどろみの島』(思潮社、第63回H氏賞受賞)、電子詩集に『遠いアトラス』(共著、マイナビ)。2014年、小説家・古川日出男、詩人・比較文学者・管啓次郎らとともに欧州5都市で東日本大震災を語る朗読ツアー「見えない波」に参加。同年、フランスのブールジュにてエコール・デ・ボザール滞在執筆プログラムに参加。これまでに韓国、オランダ、スロベニア、スイスなどからも正式招待を受け、海外での作品発表や朗読も多い。真言宗智山派僧侶。

石田瑞穂のブログ トラヴェリング・ソング
http://traveling-songs.blogspot.jp/2012/11/blog-post_11.html

赤阪 友昭(あかさか・ともあき)
1963 年大阪生まれ。写真家。雑誌『Switch』や『Coyote』などに写真・文章を寄稿。北米海岸の先住民族と過ごした時間を一冊にまとめた写真集『The Myth - 神話の風景から-』がある。現在は、山に残された原初の信仰、縄文文化や祭祀儀礼を取材。また、福島県立博物館のプロジェクトに関わり、南相馬を拠点に被災地の撮影を続けている。

赤阪友昭ウェブサイト
"http://www.akasakatomoaki.net

 

 

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