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【2017年 3月 企画展示のお知らせ】

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© Kazuma Obara 2017/ photo courtesy of Anno Teruko

第二次世界大戦末期、最初の大阪大空襲が行われたのは、1945年3月13日深夜から翌日未明(日本時間)にかけてのことである。アメリカ軍による大阪市を中心とする地域への戦略爆撃ないし無差別爆撃は、その後も、6月1日、6月7日、6月15日、6月26日、7月10日、7月24日、8月14日に行なわれており、これらの空襲で一般市民 10,000人以上が死亡したと言われている。また、東京における最初の大空襲は3月10日。今回の展示は、これらの大空襲を念頭に開催する。

小原一真は、彼ら、あるいは彼女らが隠し続けてきた身体と心の傷痕に目を向け、歴史として語られず沈黙された声なき言葉に耳を傾ける。誰でもない、手を伸ばせばすぐそこに佇んでいる人に、空から落ちてきた戦争。DO YOU BOMB THEM, AGAIN?

○ 期 間 2017. 03. 10. fri. - 03. 20. mon. 13:00 - 19:00

○ 入場料 500円

【写真展概要/小原一真】

太平洋戦争における米軍の無差別爆撃は日本の本土に残る33万の人々を殺し、43万人を負傷させた。970万人にのぼる人々と223万の家屋が被災し、日本の400以上の都市が致命的な損害を受けた。その途方もない被害の中で、当時6歳だったある女の子は左足を失った。生まれて2時間しか経過していない赤ちゃんの左足を焼夷弾の炎が襲った。ある男の子は全身に火傷を負い、また、ある女の子は一瞬にして家族6人を失い孤児となった。

戦後、日本は焼け野原から世界有数の経済大国に発展した。その驚くべき成長は「東洋の奇跡」とまで言われた。しかし、そんな輝かしい経済成長の陰で、子どもたちは傷痕を見られないように、そのハンデによって人に迷惑をかけないように一生懸命その痛みを隠しながら、ひっそりと生きてきた。長きにわたり、痛みの声さえあげることを許されなかった彼、彼女たちの沈黙の歴史を伝える。

 


【関連イベント】

3月10日(金)19:00-20:00 オープニングトーク  参加費料(写真展入場料のみ)

3月11日(土)19:00-20:00 震災/原発事故関連トークイベント「溝を埋める」 参加費 1,500円

3月19日(日)14:00-16:00 大阪大空襲関連トーク&紙芝居読み聞かせ 参加費 1,500円(15歳以下無料)
              登壇者:安野輝子氏、小林英子氏(紙芝居)、藤原まり子氏(紙芝居)

【略 歴】

小原一真(おばら・かずま)

1985年 岩手県生まれ。フォトジャーナリスト。
KEYSTONE(スイスフォトエージェンシー)パートナーフォトグラファー。宇都宮大学国際学部で産業社会学を専攻。金融機関の営業職として働く傍ら、DAYS JAPANフォトジャーナリスト学校に通う。2011年の東日本大震災直後に会社を退職し、東北沿岸部の取材を開始。福島第一原発内部の写真を撮影した写真はヨーロッパを中心に幅広く紹介された。その後、原発作業員のポートレートを撮影し2012年には写真集「Reset Beyond Fukushima」がスイスのLars Muller Publisherから出版される。同時期にスイスのフォトエージェンシーKEYSTONEと契約。2014年には太平洋戦争下で空襲の犠牲者となった子どもたちのその後を追った「silent histories」を手製写真集として自費出版。同写真集はParis Photo First photobook Award shortlistの他、米TIME紙、英Telegraph紙、Lens Cultureなど様々な媒体でBEST PHOTO BOOKS 2014に選ばれる。同写真集は2015年11月に普及版としてメキシコの出版社Editorial RMより1900部出版された。

2015年1月よりLondon College of Communication MA Photojournalism and Documentary Photographyで学びながら、ウクライナのチェルノブイリで長期プロジェクトに取り組む。ウクライナで行われたプロジェクト「Exposure」は世界報道写真コンテスト2016の「people」カテゴリーで1位を受賞。