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   © 2011 Wakagi Shingo, all rights reserved.

若木信吾による初の台湾写真展を開催します。オン・ザ・ロードで人と出会う彼の視線はいつも柔らかい。静かに人に寄り添う写真50点を展示します。

■ 映画『トーテム Song for home』のストーリー


台湾には「原住民」と呼ばれる人々が暮らしている。政府に認定されているだけでも14の部族に分かれ、古くから伝わる文化や風習を今も大切に守り続けている。しかし、近年彼らの部落では仕事に就くことが難しくなり、若者は生まれ育った土地を離れ、仕事を求め都会へと出ている。

TOTEM(トーテム)というバンドも、その様な若者が様々な部族から集まり2002年に結成された。ボーカル・ギターのスミン(阿美族)、ボーカルのチャーマーカー(排灣族)、ギターのアシン(排灣族)、ベースのアウェイ(漢族)、ドラムのアシャン(卑南族)の五人のメンバーからなる。インタビューの中で『部落を出て初めて他の部族の友達ができた』と、スミンは嬉しそうに語っている。

2005年 貢寮國際海洋音楽祭で大賞を受賞し、TOTEMの音楽活動は本格的に動き出した。彼らはバイトや音楽関係の仕事をしながら、ライブやツアーを自分達で企画し着実にファンを増やしている。しかし、一方で、彼らはどうしても都会の慌ただしいスピードに慣れることが出来ず、台北での生活を『生活をする為にだけ』と割り切っている。すれ違う人は必ず知り合いだった部落。家族や友人が身近に居て、助け合い喜びも一緒に分かち合えた。だが都会にはそれは無い。

『一番大切な事は?』という質問に、沈黙の後『大切なものは無いよ。いきていければいいんじゃない?』と心の中に押し殺した想いを不意にのぞかせるスミン。メンバー誰もがいつか故郷へ帰る事を夢見ながら、都会への戸惑いの中で生活している。

毎年夏、彼らの故郷では豊年祭など代々続く祭りが行われている。その祭りに参加する為、一時帰郷した彼らはまるで別人の様にはつらつとし、話す口調も故郷へ帰ってきた喜びが溢れていた。そこでは、喜びも悲しみも、幸せも辛さも、すべてをただ部族の歌が包み込んでいた。

故郷を想って都会に暮らす。その中で感じる事すべてが彼らの作る音楽に儚さを感じさせるのか。
誰でも帰りたくなる場所がある。

そして彼らは再び旅に出る。


若木信吾 わかぎ しんご

フォトグラファー/映画監督
1971年3月26日静岡県浜松市生まれ。
ニューヨーク州ロチェスター工科大学写真学科を卒業後、The New York Times Magazine, Newsweek, Switch, Elle Japon, HF, coyoteをはじめ、雑誌・広告・音楽媒体など、幅広い分野で活躍中。また2004年6月から雑誌「youngtreepress」の編集発行を自ら手がけるほか、第一回監督映画『星影のワルツ』が、2008年ロッテルダム国際映画祭タイガー賞にノミネート、シカゴ国際映画祭新人賞にノミネートされた。


■ 若木信吾ウェブサイト
 http://www.shingowakagi.net/

■ 映画『トーテム Song for home』ウェブサイト
 http://totem-movie.net/